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 近年のIT技術の発達に伴い,大量の情報が日々生み出され,蓄積され続けており,現在,どのように膨大な情報から必要な情報を見つけ出すのかが大きな課題となっている.((Grantz, John, F. ed. the expanding digital universe: a forecast of worldwide information growth through 2010,IDC,2008))コンピュータやインターネットの普及に伴い,一般大衆(非専門家)による情報検索が日常的に行われるようになった.探す対象も,文献や書籍のようなものから,デスクトップのファイル,メールはもちろん,他人の日記,ニュース,お店,レシピ,映画や商品レビューといったような日常的な情報,またそうした情報をよく知っている人といったように多種多様化している.今や,情報を探すことがこれまでになく日々の生活から切り離せない状況になりつつある.このような時代的な背景を受けて,情報検索アルゴリズムやシステムの研究・開発が盛んに行われており,特に,近年では,実際にユーザが接することになるインターフェイスへの関心が高まってきている.
  これまでは情報検索は,専門家らによる文献検索などの学術的なものが多かったが,利用者や検索対象となる情報が変化したのに合わせ,情報検索自体のあり方が大きく変化している.従来,探すべき情報に対する検索者の理解が明確な場合が多かったが,検索要求が明確ではない情報検索が増えてきている.例えば,「何か面白い情報」を見つけたいといったような,漠然とした要求下における情報との出会いを目的として行われる情報検索も多くなってきている.ひとことで情報を「さがす」といっても多様な種類の「さがす」が存在している.それらを整理すると,以下の4つに分類できる.
  近年のIT技術の発達に伴い,大量の情報が日々生み出され,蓄積され続けており,現在,どのように膨大な情報から必要な情報を見つけ出すのかが大きな課題となっている((Grantz, John, F. ed. the expanding digital universe: a forecast of worldwide information growth through 2010,IDC,2008))コンピュータやインターネットの普及に伴い,一般大衆(非専門家)による情報検索が日常的に行われるようになった.探す対象も,文献や書籍のようなものから,デスクトップのファイル,メールはもちろん,他人の日記,ニュース,お店,レシピ,映画や商品レビューといったような日常的な情報といったように多種多様化している.今や,情報を探すことがこれまでになく日々の生活から切り離せない状況になりつつある.
 
 1) 既知情報探索型(retrieval :IR).検索者自身が,明確に探すべき情報を理解し,具体的な欲しいものの場所を突き止めるために行われる場合.
 2) 探求探索型/出会い型/邂逅(encounter/ exploratory seeking).「何か重要な情報といった漠然とした検索要求をもとに,検索者自身が認識したその時点において探し出す場合. 
 3) 調査発見型(detection,discovery,heuristic).埋もれているような事実などを見いだすために行われる情報探索.例えば,異なるブログサイトで共通で話題になっていることを探す場合など.
 4) 観察/捕獲型(observe/watch/catch).検索要求に検索者自身が認識したその時点より先に,ニュースなど動的な情報源から「何か自分にとって価値のありそうな情報」が発生した際,それを見つけ出したい場合.
  検索システムを情報をさがす情報探索行動(information seeking behavior)は,探索者の要求の違いにより,大別して,情報検索(known item seeking/well-known search)と, 探求探索(exploratory seeking)に分類することができる.
  情報検索とは,探索者が,探している情報について既によく知っており,正解が存在する種類の探索であり,結果を提示された時に,自分が探していたものであるということが分かる場合の検索である.この情報検索では,「正しいもの(the right thing)」が求められ,手に入った時点もしくは,あきらめた時,または,情報がないと判断したときに探索が終了となる.
 
  このように,多様な情報探索の種類があるのに対して,現在の多くのシステムでは,テキストフィールドからのキーワードの入力などによるクエリの作成と,リストによる検索結果の提示が主流であるが,探索タイプによって,適したシステムとの相互作用のあり方は異なり,従来のインターフェイスは必ずしも適しているとはいえない.
  システムからの情報提示の理解や,システムとの相互作用のための操作などを直観的に行えるようにする必要がある.情報視覚化は,結果だけではなく,探索過程やユーザ自身が行っている行動の視覚的なフィードバックや直観的な操作を提供できるという意味において,検索および探索活動を支援できるため,上記のような様々な探索活動を支援するための手段を提供できると期待されている.
  一方,探求探索は,探索者自身が探している情報そのものについては正確には知らずに行う探索行動である.探索行動の結果として「満足する情報を入手する」という明確な目標は存在するものの,入手する情報そのものについては,特定の正解が存在せず,要求を満たせば良いという意味において,検索要求が漠然としている.この種の探索には,探索行動に明確な終わりが存在せず(open ended),「いくつかの満足する結果(A few good things)」が得られれば良く,正解が限定的ではないといった特徴がある.また,探求探索では,ユーザー自身の興味や関心の移り変わりとともに、探索の対象や方法もまた変化していくことが知られている((cf.berrypicking)).
 
  現在の多くの情報検索システムでは,テキストフィールドからのキーワードの入力などによるクエリの作成と,リストによる検索結果の提示が主流である.この種のインターフェイスは,情報検索の場合には,ユーザの要求が明確であるため,ある程度機能する.しかしながら,要求が探索途中で変化したり,何度も検索を行ったり,結果同士を比較する必要がある探求探索の場合には適していない.
 
  そこで本論文では,情報視覚化を利用した探究探索のためのインターフェイスを提案する.システムからの情報提示の理解や,システムとの相互作用のための操作などを直観的に行えるようにする必要がある.情報視覚化は,結果だけではなく,探索過程やユーザ自身が行っている行動の視覚的なフィードバックや直観的な操作を提供できるという意味において,検索および探索活動を支援できるため,上記のような探求探索を支援するための手段を提供できると期待されている.
  情報検索を対象とした情報視覚化インターフェイスに関する研究は,以前から行われているが,専門家を対象とした文献検索システムなどの目的が明確な場合に用いられるエキスパートシステムなどが中心であった.また,現在,一般の人々による一般的な情報を対象とした情報探索を想定とした研究事例は少ない.このような理由により,情報検索を取り巻く環境も大きく変化する中,現在の状況を踏まえた上で,再び,情報視覚化インターフェイスに取り組む意義は大きく,かつ急務であると考えられる.
  本論文では,上記の,現在,一般の人々によって日常的に行われている2〜4の情報探索を支援するため,それぞれ適した情報視覚化を利用したインターフェイスを提案した. 実験およびアンケートにより,本論文で提案を行った視覚化手法およびシステムが, 個々の領域における情報探索において有効であることを確認した.また,提案した視覚化手法は,取り上げなかった他の情報にも適用可能であり,幅広い応用が可能である.
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